今回の原稿ですが、実は最初は「ブログのコメント欄で赤っ恥をさらさないためのお作法」というタイトルで書き始めました。

 最初の1ページ分ぐらいを書き終えて、じゃあまあ前回の最後で予告したことだし、私のブログが派手に炎上した「アベする」の騒動をちょっと振り返って、そこから話を進めようとしたのですが、それが間違いの元。

 かれこれ3年近く経とうとしているのに、いや、だからこそなのか、言いたいことがあふれてきて途中で止めることができませんでした。

 というわけで今回は、個人的な炎上体験の話を中心に、それを何とかネットマナーに結び付けながらお送りします。

「そういえば『アベする』って言葉が話題になったことがあったなあ」とご記憶の方も、まったく初耳の方も、炎上を体験した1人の男の泣き言を通じて、ネットの恐さを再認識していただければと存じます。

ネットの怖さを思い知った大炎上!
「アベする」はいかにして生まれたのか

 今はどうにか苦笑いして語れる思い出になりましたが、私のブログが大炎上したのは、2007年の秋。

 きっかけは安倍晋三首相(当時)の辞任会見を受けて、私が朝日新聞に寄せたコメントの内容でした。安倍首相がいきなりの辞任。国会やら何やらが大混乱したあと、その発表から10日ほどしてからやっと辞任の理由を説明する記者会見を開きました。

 会見があった直後、朝日新聞の記者の方に電話で「安倍首相の辞任会見を見てどう思いましたか?」と尋ねられた私は、

「安倍首相が辞任を発表した後、私の周囲の何人かが、いきなり責任を放り出せるのなら自分もそうしたいという意味で、『私もアベしちゃおうかな』『俺だってアベしたいよ』と言っているのを耳にした。そんな流行語を一国の首相が作ってしまったのは、とても悲しいことだ」

 といったようなことを答えました。