炎上写真はイメージです Photo:PIXTA

多くの経営者は、ネット上の炎上を避けるためSNSの運用をためらう傾向にある。しかし、多くの経営者の“言語化・コンテンツ化”に携わってきた竹村俊助氏は「発信しないリスク」に目を向けてほしいという。ここでは、不特定多数の人に届く「攻めのメディア」を持ち、企業のブランディングに成功した例を紹介する。※本稿は、竹村俊助氏『社長の言葉はなぜ届かないのか?経営者のための情報発信入門』(総合法令出版)の一部を抜粋・編集したものです。

経営者自らがSNSで発信すべし
コーポレートサイトではダメ

 総務省によれば、世界のSNS利用者は2022年に約46億人。2028年には約60億人まで増加すると予測されています。日本の場合は、2022年の1億200万人から2027年には1億1300万人に増加すると予測されています。

 経営者自身がメディアになる。それを叶えるのが、このSNSです。

 具体的には、XやLinkedIn、noteなどのツールをうまく活用して経営者自らがメディアになる。それこそが、現代における効果的な企業のコミュニケーションです。「インターネットの発信ならコーポレートサイト(編集部注/企業自身の公式ウェブサイト)で十分だろう」と思う方もいるかもしれません。「代表メッセージもきちんと載せてあるぞ」と。ただ、コーポレートサイトは会社の「玄関」としては機能するものの、検索してもらわない限り見られることはありません。コーポレートサイトは「受け身のメディア」なのです。

 一方、SNSは「攻めのメディア」と言えます。SNSでの投稿はフォローしてくれた人を含めた不特定多数の人に届けることができます。ただ待っているだけではなく、こちらから働きかけることができる。多くの人の生活の中に「自社を知ってもらう時間」を作ることができます。

 自ら「攻めのメディア」を持っておくことのメリットは多くあります。

 ひとつは自ら情報をコントロールできるということです。

 テレビ、新聞、雑誌など外部のメディアの力を借りるとどうしても「メディア側の意図」が入ってきます。こちらが伝えたいことではない部分が切り取られ、誤解につながることもあります。それがXやnoteなどのメディアを駆使すれば、企業自ら情報をコントロールできます。自分たちの考えを丁寧に伝えることができるようになり、ブランディングもうまくいくでしょう。

SNS発信自体のリスクは
限りなくゼロに近い

 広告記事やタイアップ記事はどうでしょうか?たしかに多額のお金を払えば企業側の意図を持って外部のメディアに出ることはできます。ただそのコストは馬鹿になりませんし、自社の資産にもなっていきません。その点、企業がメディアを持っていればお金がかからない上に、長い目で見ても自社の資産になっていきます。コストの面でも、自社の資産という意味でも大きなメリットがあるのです。