「休みの間は仕事を完全に忘れる」は悪手
今年の正月は九連休の会社が多かったと思います。正月休みに入る前、経営者や職場のリーダーから「休みに入ったら仕事のことは一切忘れろ」と言われた経験はありませんか。
本人は物わかりのいい上司を気取っているのかもしれませんが、そういう人は、心の底では仕事を嫌っていたり、仕事は「悪」の存在だと思ったりしているから、休暇中は仕事を忘れなさいという発言になるのです。
小宮コンサルタンツ代表
実は、このように仕事を嫌っている人はリーダーには向いていません。
私も今年の正月は九連休にして、たまっていた原稿を少し書いたものの、会社の業務からは物理的には完全に離れました。
でも、心は休んでいません。ただ会社で執務をしたり、出張して会議や講演などをしている時よりは余裕があるので、仕事も含めて幅広くいろいろなことを考える時間に充てることができました。
松下幸之助さんは著書『指導者の条件」(PHP研究所)の中で、指導者は「体は休息させたり、遊ばせたりしていてもいいが、心まで休ませ、遊んでいるということであってはならない」と説いています。
私も、リーダーの休暇はそれでいいと思います。私の会社は17名の会社ですが、それでも考えないといけないことはたくさんあります。また、出版などの企画や連載のテーマなども考えなければなりません。
ただし、常に同じ環境にいたら(例えば常に会社のデスクに張り付いていたら)発想が貧弱になってしまいます。そのため、近所を散歩したり、公園へ行ったり、美術館へ行ったりして、環境を変える努力はすべきです。そしていろんなことを考えるのです。休暇はその絶好のチャンスです。とくに知的労働者の場合には、一瞬のひらめきによるアイデアなどを得ることはとても重要なことです。
付け加えれば、「仕事を忘れないこと」と、「いつまでも残業して会社に残ること」は別の話です。
部下は上司が残業していると帰りづらいものです。オンラインを含めて会議をダラダラしている上司のことも、内心迷惑がっていると思います。時間を効率良く使う手本を見せることも、リーダーにとってとても大事なことです。
ここまでは「心」の話。「体」は別です。
誰でも肉体的な限界があるのだから、体の疲れを感じたら休む方がいいことは言うまでもありません。部下が疲労困憊していたら、休めるような環境をつくることもリーダーの大事な仕事です。
実は、この他にも「リーダーに向いていない人」がやりがちな、一発アウトなNG行動があります。