金利上昇時代に突入したからといって、全ての銀行が好業績を出せるわけではない。本業利益率、運用総合利回り、預金増加率、金利上昇耐久度を使って、地方銀行の“本業力”を調査。4指標の総合得点を低い順に並べ「本業衰退度」ランキングを作成した。特集『新・銀行サバイバル メガバンク 地銀 信金・信組』の#20では、地銀98行のランキングをお届けする(ダイヤモンド編集部副編集長 片田江康男)
4指標で地銀98行を総合評価
金利が上昇しても苦しい地銀は?
マイナス金利解除と金利上昇時代の到来は、地方銀行にとって待ち焦がれた、これ以上ない“福音”だったに違いない。金利が上昇することで、貸出金利の引き上げが始まり、利ざやの改善や運用環境の好転が期待できる。銀行本来の金利差でもうける本業が復活するからだ。
だが、全ての地銀が等しく金利上昇の恩恵を受け、業績向上が可能かというと、そう甘くはない。
マイナス金利下では、金利差による商売ができなかったことで、単に地銀間の本業力が見えなくなっていただけともいえる。
金利上昇時代に入った今、企業や個人への貸し出しといった銀行の本業利益の多寡は、提案力や交渉力、リスク管理能力によって差が出るだろう。また有価証券の運用についても、巧拙によって運用損益に差が出る。
そして、それら商売の元手である預金を集める力や、金利上昇によって膨らむ債券の評価損に対する自己資本耐久度も、これまで以上に重要となる。
ダイヤモンド編集部ではこうした考えの下、「本業利益率」「運用総合利回り」「預金増減率」「自己資本耐久度」の四つの指標で地銀の「本業力」を測定。各指標を点数化し、100点満点の総合得点を低い順に並べることで「本業衰退度」ワーストランキングを作成した。
特に重視したのは100点満点中50点を配点した「本業利益率」だ。企業や個人への貸し出し、金融商品の販売や企業へのコンサルティングなどで得られる手数料を本業と捉え、海外金利が上昇を始めた2022年3月期から、マイナス金利解除後の影響が出始めている25年3月期中間決算を加えた、3期半の業績を評価した。
得点算出の対象としたのはメガバンクを含む大手銀行と地銀、第二地方銀行、埼玉りそな銀行、あおぞら銀行の合計103行で、財務データは「QUICK Finer Compass」から取得した。青森銀行とみちのく銀行は25年中間期で取得できる単体決算数値が不足しているため除外。ランキング作成の際には、メガバンクなどの大手銀行は地銀とビジネスモデルが大きく異なるため、順位は付けずに参考値とした。
次ページで地銀98行を対象にランキングをお届けする。本稿以降で、地域別のランキングも公開する予定だ。そちらも併せてご覧いただきたい。
総合得点が低いランキング上位の地銀は、金利上昇で業績向上のチャンスを十分に生かせず、地銀業界で沈んでいく可能性が高い。果たしてその地銀とは?