『全脳思考』神田昌典[著]定価2100円(税込) |
『全脳思考』は、私のビジネス書の最高傑作になるだろう。なぜそこまで言い切るかといえば、本書で扱っている思考テクニックは、知識創造が決め手になるこれからの時代において、なくてはならない方法論になると確信するからである。
このように書くと、なんと傲慢な著者だろうと思われるのは覚悟の上。それでも書いてしまうのは、本当にシンプルでありながら、自分でも驚くほどのアイデアがサクサクと出るようになるからだ。クオリティの高い思考が始まり、顧客や同僚、そして自分自身の期待を超える企画・提案が生まれる。理性と感性の双方を満たす思考プロセスを「行動シナリオ」にまで落とし込むことが可能となる。単なる「形のない思考」ではなく、「行動する思考」を生み出すのだ。
とてもシンプルな、一枚のチャートを活用。そのチャートを前にして、自分自身に質問を投げかけたとたん、頭がフル回転しはじめる。ダイレクトに結果につながる思考プロセスなので、経営者でも社員でも、あるいは学生でも、今までより高いステージに立てるようになる。このような能力を身につけた者の成功は、時代の流れが後押しするはずだ。
成功する思考パターンを
一枚のチャートに凝縮
知識の創造が価値を生む「知識社会」では、誰もがより高い頻度で企画・提案をまとめることが求められている。新規事業や業務改善のプレゼンはもちろんのこと、マーケティングやブランディングの観点から、講演会・説明会・セミナーを開催するケースも増えている。映像、コミュニティサイト、Eラーニングをはじめとしたウェブコンテンツの制作も、多くの企業にとって優先度の高い課題となっている。
こうした試みが、顧客そして社員を魅了するようなプロジェクトになり、期待どおりの成果を生むかどうかは、まさに思考クオリティによる。現在、一流デザイナーやCMプランナー、経営コンサルタントらが、企業経営者とトップダウンでビジネスモデルをつくりあげる例が目立ってきたように、知識社会では、ひとつの優れた企画が事業にもたらすインパクトは大きい。
これまで、こうしたクオリティの高い思考にもとづく企画・提案力は、一部の才能を持った、もしくは長年の実績とトレーニングを積んだプロフェッショナルにしかできないと思われてきた。だが本書は、この一流の知的プロフェッショナルが持つ能力を、あなたの内面から目覚めさせることができる、と断言する。