「子供の学費と老後資金を貯めたい」と相談にやってきた49歳の妻。支出を減らして貯金、投資に取り組み……とやる気はあるのにうまくいかない。よく聞くと「夫が優しすぎる」ようなのです。夫婦で家計管理&資産形成を邪魔する、夫の「優しさ」とは?FPが解説します。(家計再生コンサルタント 横山光昭)
夫婦で資産形成に取り組む難しさ
お金を貯める・増やすことは、一人暮らしなら自分の考えや努力で進められます。しかし夫婦の場合、そうはいかない場合もあります。お互いの協力と理解が、うまくいくポイントです。
この「夫婦で」という点に難しさを感じる場面が多々あります。家計に非協力的な態度、夫婦が別サイフであるがゆえの情報の分断、そして意外にも「夫が妻に優しすぎる」ことも、貯蓄の妨げとなります。「自分の使い方も悪かった。一緒に頑張ろう」という建設的な優しさは良いのですが、「大変だよね、できなくても仕方がない」という言葉は、その裏で「僕はできない、キミがやるんだよね」と主体性を放棄しているようなものです(言っている本人にそんな思惑はないのかもしれませんが)。このように、優しさの種類によって、貯蓄の成否が分かれるのです。
これは夫婦どちらの立場でも起こり得ることですが、問題に向き合わないために良い影響に気付けず、家計の改善も資産形成も停滞してしまいます。