グロービス・マネジメント・スクールで教鞭をとる林恭子氏が映画を切り口に、組織論の様々なテーマやフレームワークを紹介する連載。第7回は、「天使のくれた時間」で、ワークライフバランスについて考える。
NYの高級ペントハウスから
郊外の一軒家へ
こんにちは。林恭子です。秋晴れの青空が心地よい季節になりましたね。
秋は祝日も多い季節。皆さんは、どんな過ごし方をされていますか?家族や友人とレジャー?自宅でのんびりと読書?いやいや、仕事ですよ、という方も結構いるかも知れませんね。
今日は、ちょっぴり肩の力を抜いて、大人のファンタジー映画を楽しみながら、皆さん自身のライフスタイルについて考えてみましょう。
今日ご紹介する映画、「天使のくれた時間」は、2000年のアメリカの作品です。主人公のジャックには、いつもどこか困っているヒーロー役が天下一品のニコラス・ケイジ。相手役のケイトを大人の女性の可愛らしさが光る、ティア・レオーニが演じています。
美女と一夜の恋を楽しんだジャックは、上機嫌で高価なスーツに身を包み、マンハッタンの高級ペントハウスからフェラーリで職場へと向かいます。彼の仕事は、大手金融会社の社長職。今日も重役達を集め、アグレッシブに会議を続けています。
夜になっても一向に終わる気配のない会議。ふと見ると、1人の役員が心ここにあらずの様子。「どうした?」「あ、すみません…。今日はクリスマスイブなので、家族と約束があったものですから…」「えっ?イブ?そうだっけ…。俺が好きでこんなことをしていると思うか?クリスマス休暇なんて、26日には関係なくなるだろう。今進めているこの合併話が、俺からのプレゼントだ。どうだ、ゼロの桁が違うだろう」「す、すみません、集中します」
会議を終えてオフィスに戻ると、会長がやってきます。「ジャック、合併の相手企業のトップが、気弱になり始めたようだ。彼は明日休暇でアスペンへと向かうらしい」「何ですって。僕が言って話をつけてきましょう」「おお、それでこそ、資本主義の申し子だ」。ジャックは秘書に向かって指示を出します。「明日、アスペンへ向かう。その前に緊急会議をするから、早朝に皆を集めろ」「…素敵なクリスマスですこと」と肩をすくめる秘書。ジャックにはこれは日常茶飯事のようです。
Creative commons.Some rights reserved.Photo by TheMarque |
その帰り道。立ち寄った店で、ジャックは、もめ事に巻き込まれてしまいます。銃を振り回し宝くじの換金を迫る黒人男性に対し、ビジネスマンらしく交渉し、なんとかその場をおさめるジャック。でも、実はこの男性、密かに人間の行動をチェックしている天使なのです。