会社やチームのリーダーとして、いま、求められているリーダーとはなんだろうか? 責任をとること? 部下やメンバーの話をよく聞いて、仲を深めること?
『リーダーの言語化 「あいまいな思考」を「伝わる言葉」にする方法』の著者である木暮太一氏は、リーダーの本来の役割は、どこに向かって進むべきかを「言葉で明確に伝えること」だと話す。本記事では、木暮氏に「言語化」について教えてもらう。

「会議で意見が出ない」のは目的と準備が曖昧だから
「この案件について、みなさんの意見を聞かせてください」
リーダーがそう問いかけても、誰からも意見が出てこないことがあります。というより、誰からも意見が出てこないことがほとんどです。多くのリーダーがこの状況にストレスを覚え、「うちのメンバーは受け身だ」「自分の意見を持っていない」と嘆いています。
しかし、本当に問題はメンバーの姿勢なのでしょうか?
ぼくは様々な業種の企業で、会議コンサル(会議の進め方のコンサルティング)をしてきました。その実体験から言えることは、「会議で意見が出ない」のは、多くの場合メンバーではなく、会議を開くリーダーに課題があることがわかっています。
会議はたった3種類しかない
まず理解すべき重要なポイントは、会議はたった3種類しかないということです。
新しいアイディアを生み出したり、多様な視点から問題解決策を探ったりする会議です。ブレストや企画会議などがこれに当たります。
2. 何かを決めるための会議
複数の選択肢から一つを選び、決定するための会議です。戦略決定会議や予算配分会議などがこれに当たります。
3. 情報を共有するための会議
チームメンバー間で情報の共有や認識合わせをするための会議です。進捗報告会や定例ミーティングの多くがこれに該当します。
多くの会議で参加者が発言しない原因は、これらの種類を混同していることにあります。あるいは、そもそもどの種類の会議なのかが明確になっていないことが問題なのです。
ある製造業のプロジェクト会議では、リーダーは「新製品のアイディアを出し合おう」と言いながらも、実際には既に経営層が決めた方向性を説明する会になっていました。リーダーは「なんか意見は?」と問いかけますが、参加メンバーからすると「というか、もう決まってるんでしょ? 上がいいなら、それでいいんじゃん?」と冷めた目で見ていました。