先週発売された「週刊東洋経済(2008年4月12日号)」が日経新聞を特集して話題となった。東洋経済新報社にとって、日本経済新聞社(以下、日経)はライバル誌の「日経ビジネス」を発行する日経BP社の親会社でもある訳で、敵に塩を送る(?)様な内容もさることながら新聞社のビジネスモデルにまで切り込んだ内容は読み応えもあった。

 中でも日経が2009年内にいつでもゴーを出せるまで準備を進めているという「電子新聞」はこの特集が放ったスクープだったのではないだろうか。

 東洋経済によると、この電子新聞の中身は(1)読者から料金を徴収する (2)広告も入れる (3)電子新聞ならではのコンテンツを入れる、という。電子新聞に関していえば、かつて毎日新聞がシャープ発売のPDA、ザウルス向けに提供した「ザウルス新聞」や産経新聞が発行する「産経Net View」が先行したが、残念ながら成功とは程遠いのが現状である。

 私が知る限りではヨーロッパでは電子ペーパーを利用した電子新聞が先行するが、アメリカではいわゆる電子新聞を見た覚えはない。中でも、この特集で目を引いたのは、電子新聞を成功に導くために日経ネットを今以上に裾野を広げる必要があり、外部から積極的にコンテンツを買い集める、という。

 つまり、日経ネット自身がポータルを目指すという戦略である。ヤフーに一切記事配信を行わない日経が自らをニュースポータル化させるというのだ。

 さらに、日本経済新聞デジタルメディア社はテレコン、NEEDS(機関投資家向け有料データサービス)、日経ネットに続く4つ目の事業創造のために、日経本社から借金をして日米の代表的なベンチャーキャピタルに1億円ずつ投資したという。成功するかは、ともかくもトライする姿勢に敬意を表したい。

インターネット時代に
新聞社がすべきこととは?

 ご存じのように先進国の新聞社のほとんどはインターネットや携帯電話などメディアの多様化とライフスタイルの変化によって、販売と広告の収入の2本柱が急激に減少に転じて苦しい状況に追い込まれている。それを何とか食い止め、新たな成長を期すために各社取り組んでいるのがインターネットを代表としたデジタルメディアである。しかし、新聞での落ち込みを吸収して、さらにそれに代わる収入の柱になるほどの大きなビジネスには残念ながらなっていないのが現状である。