「中田課長って、じつはEDじゃーん!」
今年入社したばかりの女子社員、渋谷ギャル子さんの発言に一同は完全に凍りついた。
「あ、あの、渋谷さん。どどど、どうして僕がEDだってこと…」
「やだなあ、中田課長。EDって渋谷の若者語で、『ええ度胸しとる』って意味の略語だよっ。ホメてんの!」
「そ、そう。どうもありがとう…」
中田堅司課長は額の汗をおしぼりでぬぐった。近頃の若い女の子は理解できない。いくら飲み会の席とはいえ、いきなりの「ED発言」、そしていきなりの「タメ口」である。渋谷さんに限らず、なんだか最近、ズバズバ意見を言ってくる女性の部下が増えた気がする――。
「モンスター部下」は
女性に多い?!
最近は誰でも思った通り意見が言える、自由で風通しのいい会社が増えた。とはいうものの、多くの企業ではむやみな放言は許されない。部下はあくまで、上司と自分の立場と関係を踏まえた上で発言するのが鉄則だ。
ところが時折、この不文律を無視する女性がいる。中には「自分なりの正義感」を振りかざし、組織を混乱させてしまうモンスター社員もいるようだ。都内で教育関連会社を経営する男性の体験を聞いてみよう。
「彼女は契約社員でしたが、会社では古株のほう。仕事もてきぱきこなし、非常に有能だった。しかし、組織の壁や上下関係を無視して、あれこれいちゃもんをつけてくるので、われわれはほとほと困り果てていました。
『経理の○○さんは仕事が遅すぎです!なんとかしてください』『うちの課長は人間として未熟すぎる。もっと人生経験のある人の下で働きたい』『この会社の人員配置はおかしいんじゃないですか。社員の適性をよく見きわめてくださいよ』などなどの意見を、直属の上司ではなく部長、あるいは社長である私に直接突きつけてくるんです。果ては会社の問題点を長々とレポートにまとめ、提出してくる始末ですよ。
もちろん率直な意見は大賛成ですが、経営や人事について指示を受けるいわれはありません。そう告げると『会社をよくしてあげたい一心で言っているのに。人の親切がわからないんですか!』とむくれる。彼女のいる部署は、決まって人間関係が悪化して業務が立ち行かなくなるので何度か配置換えをしました。それでも周囲とうまくいかず、結局、自分から辞めてしまいました」
これはあくまで極端な例だが、「よかれと思ってやったことが、上下の人間関係を壊してしまった」という女性は意外と多いようだ。かつてイベント会社に勤務していた40代女性は、次のように振り返る。
「中途採用された新しい男性上司の下で働いたことがあるんですが、我々の業務は彼にとってはまったく未知の分野だった。そこで、私は彼の仕事を細かくチェックし、『こうすると効率がいいですよ』などとアドバイスしていたんです。