ABBAの音楽も懐かしいミュージカル映画「マンマ・ミーア!」が大ヒット中です。この話の舞台となっているギリシャの小島は輝く太陽と青い海がすばらしくて、このような場所で美味しいシーフードを食べながらしばらく過ごせたなら、間違いなく元気になれそうな気がします。実際に“健康”の観点からも、この地域は魅力的なのです。

 ギリシャの島々を含む地中海沿岸は世界的にみて、心臓病や慢性疾患、ガンの患者数が少なく、長寿の地域でした。1970年に、最初にこの地域の食習慣と健康の関係が紹介されて以来、特に1990年代以降、地中海沿岸地域の伝統的食習慣をモデルとした「地中海式食事法」の研究は急増しています。

 これまでに「地中海式食事法」のメリットを示す研究成果は数多く蓄積されており、現在、最も注目されている“究極の”健康に良い食事法の1つといっても差し支えないでしょう。

科学的研究が
「地中海式食事法」の健康効果を証明

 先日も、地中海式食事法は、脳の健康にも良いことが報告されました。この米国コロンビア大学の研究では、この食事法を遵守していた人々は、そうでない人々より、記憶力などが重度に損なわれた状態である軽度認知障害(MCI)のリスクが3割低下して、さらにMCIがアルツハイマー病に進行するリスクが半減することがわかったのです。

 地中海式食事法は、コレステロール値、血糖値、および血管の健康状態を改善することが示されています。これらの結果として、糖尿病、高血圧、心臓発作や脳卒中などの予防に役立つこともわかっています。

 例えば、この食事法への遵守度の最も高い人々は、糖尿病のリスクが8割以上も低下すると、スペインのナバラ大学の研究者が昨年報告しています。

 ガンの予防にも役立つようです。地中海式食事法への遵守度が高い人々ほど、ガンのリスクが低下することを、昨年、米国ハーバード大学の研究者が報告しています。この研究では、研究者が定義したこの食事法を構成する10要素のうち、実行している要素が2つ増加するごとに、ガンの総合的リスクが12パーセント低下しました。

 これらの結果として長寿にもつながるようです。2007年末に報告された、米国国立ガン研究所の研究者による38万人の米国人を対象とした研究では、地中海式食事法をしっかり守った人々で、総死亡リスクが2割低下することを発見しています。

「地中海式食事法」
の定義とは?

 地中海式食事法の研究といっても、実は、その定義には幅があります。多くに共通しているのは、健康に良い脂肪(主にオリーブ油)、野菜や果物、全粒穀物、魚を食べる、赤肉はあまり食べないということです。