精子の元気がない男は早死にする?米スタンフォード大学教授がスルーできない研究結果【50年間7万8000人調査】写真はイメージです Photo:PIXTA

精液の質が良い人は寿命が長い?

 動いている精子の総数が多い人は、少ない人に比べて生殖能力が高いだけでなく、寿命も長い可能性のあることが、新たな研究で示唆された。50年にわたり7万8000人以上の男性を追跡調査した結果、総運動精子数(1TMSC)が多い男性は、少ない男性に比べて3年近く長生きする可能性が示唆されたという。

 コペンハーゲン大学病院(リグスホスピタレット、デンマーク)のLærke Priskorn氏らによるこの研究は、「Human Reproduction」に3月5日掲載された。

 世界保健機関(WHO)の基準に基づくと、サンプル中の精子の少なくとも42%が効果的に泳ぐことができる場合、精子の運動性は正常だと判断される。研究グループは、精子濃度が1mL当たり500万個未満の場合は、男性不妊症と関連付けられていると説明している。

 この研究では、1965年から2015年の間に不妊症を理由に精子の質の評価を受けた7万8284人(精液採取時の平均年齢32歳)の男性を対象に、精液の質と全死亡との関連を検討した。

 精液の質として、精液量、精子濃度、運動性と形態が正常な精子の割合を調べ、さらに総精子数とTMSCを算出した。対象者の寿命を精液の質別に算出し、全死亡率の相対的な差をCox回帰分析により推定した。

 中央値で23年にわたる追跡期間中に、8600人が死亡していた。TMSCの分類ごとに見ると、TMSCが1億2000万超の男性では平均余命が80.3歳と推定されたのに対し、無精子症の男性では78.0歳、TMSCが0〜500万の男性は77.6歳であり、これらの男性ではTMSCが1億2000万超の男性と比べて、平均余命がそれぞれ2.3年と2.7年短縮する可能性が示された。