これといった「強み」がなくても、転職活動で無双できる人のたった一つの特徴写真はイメージです Photo:PIXTA

「自分の強みをアピールしなさい」と転職活動ではよく言われるが、アピールするほどの資格や経歴がない人は一体どうすればいいのか。特別な強みを持っていなくても、なぜか転職活動が成功する人がやっていることを、新卒4年目で転職を考えている田中君とAIサービス「転職デビル」の会話から読み解いていく。※本稿は、安斎響市『転職する勇気 「強み」がない人のための転職活動攻略マニュアル』(扶桑社)の一部を抜粋・編集したものです。

転職で「自分の強み」が
使えるのは書類選考まで

「田中君は、『自分には強みがない』『市場価値がない』って繰り返してるけどさ、そんなの企業側の評価基準のせいぜい5%程度のものだよ」

「え?そんなに小さいの?」

「『強み』が使えるのは書類選考までの話なんだよね」

「書類選考まで?1次面接以降は、強みの有無は関係ないってこと?」

「ないね」

「ウソだぁ、そんなわけないよ」

「ウソじゃないよ。田中君は面接官の仕事なんてしたことないと思うけどさ、ちょっと考えてごらんよ。ある時、面接に来た人が、めちゃくちゃ失礼な態度で、椅子にふんぞり返って脚を組んで面接を受けていてすんごい不快で、髪もボサボサで不潔で、口も臭かったら、どう?」

「どう、って…」

「この人は有名企業出身で、事業開発プロジェクトのリーダーを務めた経験があって、英語もできるから、よし採用しよう!ってなる?」

「ならない…かな」

「だよね?いくら強みがあったってさ、面接の印象が悪かったら何の意味もないんだよ。逆に、こういうパターンはどう?ある採用面接の候補者が、聞いたこともない学校しか出てなくて、よく分からない中小企業の勤務経験しかない。

 でも、面接で話を聞いてみたらめちゃくちゃコミュニケーション能力が高くて、しっかりした受け答えができて、明るくて気遣いができて、周りを笑顔にする素敵な人だった。この場合でも、『この人は学歴と経歴が弱いからなぁ』って不採用にする?」

「たぶん、しない。僕だったら、採用を決めると思う」

採用を決めるのは結局
「この人と一緒に仕事がしたいか」

「そうだろ?1次面接に呼ばれた時点で、もう学歴やら資格やらは、ほとんど関係がないんだ。面接で見られるのは『この人と一緒に仕事がしたいかどうか』『この人が入社後に活躍できるイメージを持てるかどうか』、それだけだ。過去の経歴の立派さとか関係なしに、面接の場での振る舞いがほぼすべてなんだよ」

「なるほど…」

「たしかにさ、書類選考の時点では、資格や経歴、何かの強みがある人の方が有利だよ。どんなに採用経験のある人でも、たかだか数枚の紙きれだけで候補者がどんな人かは分からない。

 かといって、応募してきた人全員を面接に呼んでいるほど暇ではない。だから、とりあえず経歴で足切りをすることは多いのさ。