政府は15兆円を超える史上最大規模の追加経済対策を発表した。併せて日本銀行が国債買い入れを増額することが重要だと思うが、今回の主題は景気や株価ではない。
対策の細目を見ると、住宅取得に絡む贈与税の最大500万円軽減を筆頭に、ハイブリッド車購入の際に補助金が出るとか、省エネ対応の家電製品を買うと最大3万9000円相当のポイントが付与されるとか、特定の物を買う場合に公的なサポートを受けることができるという項目が多い。
ある程度余裕のあるおカネ持ちにメリットが集中することを脇に置くとしても、自動車を買うよりも旅行をしたいとか、薄型テレビよりも本を買いたいといった消費になぜサポートがないのか理解に苦しむ。「環境」というなら、そもそも不要な自動車が走らないのがいちばんよい。テレビの買い替えを補助するよりも図書券でも配ったほうが、国民は賢くなるだろう。自動車、家電、テレビ局に負けないくらい出版社だって苦しい。
売り手側の苦しさもさることながら、おカネの使途はできるだけ自分で決めたいと思う。
教育予算に至っては、「学校ICT」と称する学校のIT化(電子黒板などを指す)に4000億円もの予算を取り、他方、教師の英語研修には10億円の予算を付けるという。教育の改善には、教師とカリキュラムの質・量両方の改良こそが必要なのではないか。百歩譲って、学校の校長が、たとえばネイティブスピーカーの英語教員を雇うよりも電子黒板が重要だと判断するなら、それでもいい。個々の学校が使途を判断するのではまずいのだろうか。
2兆円の定額給付金があまりに不評だったせいか、今度の対策はおカネの使途や受給条件を政府が決める「お節介」なものが多い。