「無料ツアーに当たりました!」商店街の抽選で“当選”した客が知らない事実写真はイメージです Photo:PIXTA

束の間の非日常をくれる“ツアー旅行”。宿泊するホテルや観光、土産物店など、どれをとっても楽しいものだ。だが、その一方でウラには様々な儲け話も隠れているとか⋯⋯。「宿泊料金の表と裏」、「なんとも怪しい買い物ツアー」など、旅行業界の裏側を派遣添乗員がぶっちゃける!※本稿は、梅村 達『旅行業界ぶっちゃけ話 日雇い添乗員が見た懲りない人々』(清談社Publico)の一部を抜粋・編集したものです。

飛行機が地面に降りない…
旅のプロすら振り回された霧の洗礼

 長野というと松本空港がある。日本の空港の中では最も標高の高い場所(658メートル)に位置している。それだけに霧が発生しやすいなど何かとトラブルの多い空港ではあるが。

 2023年5月のある日、その空港出発のツアーに添乗した。行き先は岡山県の倉敷、香川県の小豆島などである。初日に倉敷の美観地区、2日目は小豆島を回るという2泊3日のツアーである。

 最終日は夕方に兵庫県の神戸空港から松本へと飛行機で飛び立つ。3日目は雨こそ降られたものの、飛行機にさえ乗ってしまえば、もう大丈夫だ。飛行時間はおよそ1時間で、間もなく松本である。

 と思っていたら、何と飛行機は松本空港に降り立たない。やがてキャビンアテンダントから機内にアナウンスが入り、空港には霧が立ち込めているとのこと。

 やがて飛行機は大きく旋回して再度、空港へと向かい、高度を下げていった。けれども結局、地面から遠ざかっていくではないか。また放送が入り、飛行機は着陸をあきらめて神戸に戻るということであった。