米国の民主政治は甦るか
中国に民主政治は必要か

 一方、「アメリカ民主政治の欠陥」について投げかけられた疑問に対して、ネット上では次のようなコメントも現れた。

「アメリカ民主政治の本質は確かに金権政治だろうが、今回の選挙で国民はその金権政治への反撃と逆襲を選んだ。アメリカ政治の“圏外からの出馬”が受け入れられた理由も、金権政治からの離脱を目指す国民の意志の表れだろう。今回の選挙は民主政治の欠陥でも弊害でもない。まぎれもなく民主政治のデバッグ(修正)である」

 書き込んだのは在米の中国人だろうか、次のような意見もあった。

「選挙結果は当選者の出した政策が支持されたという明確なシグナル。しかも、トランプ氏は『全てのアメリカ人のための大統領になる』と誓った。彼は最大多数のみならず、それ以外のマイノリティにも目を向けている証だ。これこそが民主選挙の本質、少数の権利は大多数の犠牲になってはならないということだ」

 民主政治の在り方に波紋を広げた今回の大統領選挙だったが、それでも在米の中国人の中には、ここへの期待は捨てていないことがわかる。当選結果が発表された11月9日、「ボイスオブアメリカ」(中国語版)は、二人の中国人学者の指摘を取り上げた。

 中国の社会経済学者で湖南財経学院に在籍していた何清漣氏は「アメリカは一人が一票を持つが、中国にはそれがなく、民衆が候補者選びに参加できない」としつつ、「その一人一票の民主政治を、中国が拒絶する理由はない」とした。しかし、「国家の民主形態を決定するのは民衆の資質だ」とし、民主政治を認めながらも、中国では時期尚早であることを言外に示唆した。

 一方、米イサカカレッジ文理学院の王維正院長は「中国では民主への転換をすべきかもしれないし、目下、そこへの検討も進めているといえるだろう。あとは主導部の決定にかかっている」とコメントしている。

 アメリカの大統領選は、中国人をして「民主政治の茶番」と失笑されるシーンもあった。たとえ選ばれたのが“異端児のトランプ氏”であっても、国民や世論、さらには議会がさまざまなアンバランスを修正していく可能性もある。アメリカの民主政治の今後の展開は、果たして中国にどのような啓示をもたらすだろうか。