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悪夢とさえ表現された、ドナルド・トランプの米国大統領選挙での勝利。ところが、早くも経済政策に期待する声すら上がっている。トランプノミクスとは何か、実現可能なのか。
「ヒラリーでもTPP(環太平洋経済連携協定)は微妙かもしれないと思っていましたが、これでNAFTA(北米自由貿易協定)もナシですか……」。ある自動車メーカーの幹部はため息をつく。
大勢が当選予測していたヒラリー・クリントンは、TPPの見直しを表明していた。ところが、新たに米国の大統領になるドナルド・トランプは、これから批准に向かおうとしていたTPPは見直しではなく就任初日に離脱、さらには既存のルールであるNAFTAすら再交渉をにおわせているのだ。
日本政府は、TPPの発効にはGDP(国内総生産)を約14兆円(2・6%)押し上げる効果があるとしている。経済団体のトップもこぞって、TPP推進を歓迎してきた。また近年、日本企業はNAFTAに加盟するメキシコへの進出を行ってきた。それだけに、打撃は大きい。
現実路線へ急激に変化
しかし、希望を見いだせるとしたら、それは、トランプ自身の姿勢にある。
外務省幹部は「実は選挙で過激なことを言っても、いざ大統領になれば、いかにそれを現実的なものに修正していくかが、腕の見せどころでもある。これまでの大統領もそうだった」と明かす。
実際に、トランプの変節には驚くべきものがある。当選からわずか数日で急激な現実路線への修正が明らかになっている(上図参照)。中には、「そもそも言ってない」などとコメントしているものすらあるほどだ。