従来は1億円の物件購入で
最大200万円程度の税額不公平感

 今回の改正の相続税額への影響を計算してみよう。以前実態を調べた結果からすると、タワーマンションの相続税評価額の平均は購入金額の17%だった。その当時と比較して物件価格が上がっているので、現時点では評価は14%ほどだろう。つまり、86%評価が下がってしまうわけだ。10億円の現金の相続税評価は10億円だが、10億円のタワーマンションのそれは1.4億円となるということだ。

 平均14%の物件の高層階と低層階の単価差が1.8倍とすると、これまでは棟内で10%と18%が混在していたようなものだ。この8%の差に相続税率をかけたものが実際のキャッシュベースの違いでの最大値になる。

 相続税の最高税率は55%なので、8%×55%=4.4%となる。不動産の相続税評価は土地と建物の合計額なので、今回の建物の評価替えの効果が全体の半分とすると、実際は購入額の2%程度の違いということになるだろう。つまり、これまでは1億円の物件を購入して、最大200万円程度の税額の不公平感が出ていたことになる。

 この価格差は意外に小さい。それに新築であれば、建物の固定資産税評価は分譲時には建物ができていないので、評価もされておらず、販売側もわからない。購入側は購入の判断基準に入れることすらできない。税額がいくらになるかわからない新築は買いづらい。

 もしかしたら、現存する中古物件に対してはすごく高い税額かもしれないが、相対的に調べる手立てはない。そうなると、税額を判断材料に新築物件を選ぶのは難しい。それに、最近のタワーマンションは投資用として購入されるケースが多い。新築竣工時に、総戸数の1~2割の賃貸が募集に出されることもある。数十の高額賃貸住戸が一時期に募集に出されると、空室はなかなか埋まらない現実もある。加えて、新築は契約から竣工まで少なくとも1~2年を要するので、この間に亡くなると相続税対策にもならない。

 節税をも目的の1つとして購入しようとする人は、新築では不確定なことが多いので、中古物件に集中する。すぐに取得できるし、賃貸市場でも貸し手優位になりやすく、税評価も確定している。そんな中古物件は今回の是正対象外となっている。