「公布」は国事行為の中でも重要な項目なので、印ではなく、「○○の法律をここに公布する」という書面に、陛下が毛筆で署名され(陛下のお名前「明仁」と)、さらに、9センチメートル角もある天皇の公印「御璽(ぎょじ)」(「天皇御璽」と刻まれている)が押される「御名御璽」という決裁形式が取られる。もちろん、陛下はここでも、添付される(公布対象の)法律条文全文に目を通されていると思われる。

 ちなみに、国事行為は「内閣の助言と承認」(内閣の意思決定)に基づき行われるので、その案件は全て、内閣の会議である閣議にかけられ、文書として閣議決定された上で皇居に運ばれる。このため、国事行為のデスクワーク、ご執務は、毎週火・金曜午前に行われる閣議の後、つまり火・金曜の午後に皇居で行われている。

 陛下は昨年、約1000件の上奏書類を決裁されたというが、注意すべきは、例えば1回のご執務で処理される、数百人分の功績調書を含んだ叙勲関係の書類が、まとめて「1件」とカウントされていたりすることだ。

 しかも、決裁を翌日以降に遅らせると政治への介入(一例を挙げると、「法律の公布」を1日遅らせると、法律の発効に関する手続きを天皇の都合で1日ずらしたことになり、立法権への介入=憲法41条の国会単独立法の原則などに抵触)となるので、体調が悪くても、ご執務を簡単に休むわけにはいかない。

 御用邸で静養中や地方訪問中であっても、火・金曜にぶつかると、内閣官房の職員が午後、新幹線や飛行機で書類を東京から持参し、御用邸やホテルの部屋で決裁していただいている。執務は週2回なので、年間約100回になる。