「お金の希少価値がまったくなくなっているし、今は、銀行から借りなくても直接お金を集めることができる時代。自己資本比率の規制だってきつくなって、リスクがとりにくくなる一方だし。決済だって、フィンテックの発達でいろんな手段が生まれているから、銀行の口座を使わなくてもよくなるよね。金融サービスという面では新しい可能性がいっぱいあるから面白いけど、それを既存の銀行がやるかどうかはわからないな。総じて今の銀行に将来性があるかは疑問かも。金融ベンチャーのほうがよいだろうね」

好青年「それなら、ITがいいのでしょうか?」

「ITと言ってもいろいろあるけど、君は法学部でしょ。これからの時代、技術的なバックグラウンドがない人がIT事業者として楽しめるかな?もちろん人事とか宣伝とか、活躍できる場はあるけど、これもどんどんデータサイエンス的思考が必要になるしね。もちろん、勉強し直せば無理なわけじゃないけど」

 …と、その後も「この業界はこんなリスクがあるの、どうのこうの」と文句ばかり言い、「ここがいい!」とはまったく答えられなかった。そして、情けないことに「要するに大事なのは、縁と運と勘だ」とか何とか言って、ごまかして帰ってきてしまったのである。

40年間変わらない人気企業ランキング

 ビジネスを取り巻く環境の根本的変化の現代は、将来がどうなるかがまったく見えない時代ともいえる。だからこそ、「新しい技術をもって颯爽と登場するベンチャーなどに身を投じるのがいい」という話になりがちだが、一方で「大企業に入っておくのが正解」という意見も根強くある。以下を見てほしい。

 こちらは、昭和50年(1975年)3月卒業者の人気企業ランキング(文系)だ。(理系のランキングは専攻との関係が強いので引用していない。)社名が変わった企業があるので少しくらいの違和感はあるだろうが、今年のものだといっても通用する気がする。

 そして、こちらが昨年(2016年)の人気企業ランキングだ。

 そもそも人気企業ランキングにさほど大きな意味はないが、世相を映す鏡としての役目は果たす。そしてこれを見る限り、結局、大企業の人気はそれほど凋落しなかったとも言える。なんと、昨年のベスト10のうち、1975年に上位10位以内だった会社が10社中4社を占めるのだ。該当社は青字にしている(ちなみに上位30位以内だった会社は昨年の10社中8社だった!)。昨年ベスト10の中で新興企業はH.I.S.だけである。