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トランプのツイートを瞬時に事実確認するツールを
ワシントンポストが開発

――深まる米メディアと大統領の対立、各社の対応

瀧口範子 [ジャーナリスト]
【第423回】 2017年2月6日
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 また、テレビ局の中には、ホワイトハウスの記者会見をリアルタイムで中継するのをやめたところもある。嘘をそのまま放送して繰り返してしまうのを防ぐのが理由のひとつだが、もうひとつは、報道官の発表に解釈やファクトチェックを加えるために時間差設けて放送することを選んでいるからだ。

 そもそも公式発表をそのまま報じていたのでは、企業の発表資料をそのまま伝えるパブリシティと同じになる。一部の報道メディアの間では、「もはやホワイトハウスの記者会見には出席する必要はない」と言うところも出てきた。どうせ実のある話がないのならば時間の無駄。「その時間を調査報道にかけるべきだ」ということだ。

ツイートと同時にファクトチェック
できるツールも登場

WebブラウザであるGoogle Chrome の拡張機能「RealDonaldContext」のダウンロードサイト(https://chrome.google.com/webstore/detail/realdonaldcontext/ddbkmnomngnlcdglabflidgmhmcafogn)

 ワシントンポストのように、ファクトチェックがトランプのツイート上で見られるようなブラウザー用の拡張機能を独自に開発したところもある。「RealDonaldContext」という拡張機能をインストールすると、トランプ大統領のツイートの同じ画面上で、同紙が不正確な記述をファクトチェックした結果が表示される。

 ただ、すべての報道メディアが歩調を合わせているわけではない。信頼性で定評のあるNPR(ナショナル・パブリック・ラジオ)は、トランプ大統領に対して「嘘」という言葉を使わないという方針を発表している。「嘘は、相手をだます意図があって働くもの」という定義があり、その意図が不明である限りは使わないという。また、このような時代にはどちらの党にも加担しない冷静なジャーナリズムが必要、という判断からでもある。

 SNSの出現によって、報道メディアはそのあり方を自問していたが、今度はトランプ政権という稀な対象に四苦八苦させられている。どのメディアも学習を迫られている。何よりも、今は、これまでにないほど報道メディアの正念場であることは確かなのである。

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瀧口範子
[ジャーナリスト]

シリコンバレー在住。著書に『行動主義: レム・コールハース ドキュメント』『にほんの建築家: 伊東豊雄観察記』(共にTOTO出版)。7月に『なぜシリコンバレーではゴミを分別しないのか?世界一IQが高い町の「壁なし」思考習慣』(プレジデント)を刊行。

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