国債は債務の
「身代わり地蔵」
一般的な見方として「国債は財政赤字垂れ流しの浪費によって積み上がった」との考えがあるが、そう単純ではない。筆者は長らく、国債は「過剰な債務を肩代わって積み上がった身代わり地蔵」として説明してきた。
国債はバランスシート調整に伴う損失処理のプロセスのなか、段階的に債務を肩代わり、「時間を確保する器」の機能を果たす。悪く言えば、債務問題の「先送りの道具」でもあった。
日本の1990年代以降のバブル崩壊において、企業の過剰債務問題として議論された。それから30年近くが経過し、日本企業の債務負担は極めて軽い、「筋肉質」状況になった。一方、長年にわたる債務負担を肩代わりしてきた結果、国債残高が巨額に達した。