ドナルド・トランプ大統領の政策は、シリコンバレーを中心とするアメリカのハイテク産業の発展を阻害する危険がある。これは、アメリカの経済に甚大な悪影響を与える。なぜなら、アメリカ経済をリードしているのは、これらハイテク企業群だからだ。

 では、イノベーションを生み続けてきたシリコンバレーとは、どんなところか?

インターネット時代に
集積する意味があるか?

「シリコンバレー」とは、アメリカ、カリフォルニア州サンフランシスコの南の湾岸に広がっている地域を指す。

 サンフランシスコ国際空港からは、高速道路280号線で向かう。この道路は、「世界で最も美しい高速道路」と呼ばれている。

 1時間ほど走ると、左の丘の上に、パラボラアンテナが見えてくる。ここがスタンフォード大学のキャンパスだ。

 ここで高速道路を降りると、スタンフォード大学を中心として、美しい自然に囲まれた小さな町が点在している。

 その1つが、パロアルトだ。

 この近くには、前々回に紹介したアップル、グーグル、フェイスブックをはじめとするIT関連の先端企業が本拠を構えている。この他にも、さまざまなスタートアップ企業が活発な活動を展開している。そもそも、IT革命は、シリコンバレーのスタートアップ企業によって開かれた。

 インターネット時代においては、通信はきわめて容易にできる。したがって、同じような経済活動が1ヵ所に集積する意味はないように思われる。