同じ努力をしても、「戦う場所」で結果は変わる
「戦う場所」を選ぶ――。
これは、生きていくうえで非常に重要なことです。
国レベルで「戦う場所」を変えるのは、たしかに大きな決断です。誰もができる決断ではないかもしれません。だけど、コトの大小は問わず、私は常に「戦う場所」を選ぶことを意識してきました。なぜなら、「持たざる者」が活路を見出すためには、絶対に必要なことだからです。
たとえば、「青年の船」に応募したときもそうです。
明治100年を記念する一大国家プロジェクトでしたから、応募者が殺到することは容易に予想できました。だから、私は住民票を東京都から石川県に移すことにしました。都道府県ごとに選考することになっていたので、どう考えても東京の倍率がいちばん高くなります。そこには、私のような平凡な男にチャンスはない。「戦う場所」を生まれ故郷の石川に変えるべきだと考えたわけです。
これが見事に当たりました。私は東京で日米会話学院に通っていましたが、石川県に英会話を本格的に学んでいる人はほとんどいませんでした。だから、トップの成績で選考されることに成功。英会話を学んでいる人が多い東京では、こうはいかなかったでしょう。
もしかすると、「ずるい」と思う人もいるかもしれませんが、あくまでもルールの範囲内。「ずるい」のではなく、「戦略」をもって戦ったというべきでしょう。私という人間に変わりはないけれど、「戦う場所」を変えれば結果は変わる。同じ努力をしても、「戦う場所」によって人生には天と地の差が生まれるのです。