社員数16万人超。世界最大の航空宇宙会社ボーイングは、社内でリーダーと呼ばれる人材の数も桁違いだ。人事担当のステファンズ上級副社長によれば、リーダーシップセンターで訓練を受ける対象者は重役・幹部レベルの2000人を含めて世界に1万3000人いるという。その複雑に入り組んだ巨大組織を動かすリーダーシップの育成法は、事業領域が多岐に渡る日本企業にも多くの示唆を与えてくれそうだ。(聞き手/ジャーナリスト 瀧口範子)

――ボーイングにはリーダー養成を目的とするリーダーシップセンターがあると聞くが、設立の経緯や研修対象者など概要を教えてほしい。

リチャード・ステファンズ(Richard Stephens)
ボーイング社の人事および管理担当上級副社長で、同社のエグゼクティブ・カウンセルのメンバー。ボーイング在籍31年で、これまで国防サービス部門、スペース・シャトル部門、戦闘システム部門など数多くの部署で要職を歴任。海軍士官の経験を持ち、アメリカ保険社会福祉省の健康IT標準化委員会や、アメリカ航空宇宙学会のフェローおよびキャリア開発委員会の会長を務めるなど、社外活動へも積極的に参加。南カリフォルニア大学で数学理学士号を、カリフォルニア大学フラートン校で理学修士号の他、クレアモントビジネス大学院においてMBA取得相当の単位も取得。アメリカ・インディアンの一族首長を務めた経験もある。

 リーダーシップセンターがセントルイスに作られたのは1990年代で、マクドネル・ダグラス、ロックウェル、ヒューズ・スペース&コミュニケーションなどとの合併を経て、現在のボーイングがかたち作られようととしていた時だ。社内にどんなリーダーたちがいるかによって企業のあり方が左右されるわけだから、このリーダーシップセンターの存在は、ボーイングにとって大きな利点となっている。

 ボーイングは、なによりリーダーの社内育成を重視している。リーダーとは、言うまでもなく、複雑で変化の激しい企業、しかも大企業を率いていける人材であり、目標を達成することに加えて、そのプロセスにおいて周りの人間を正しい方向に導き、やる気を起こさせるような人間のことだ。

 現在、われわれがリーダーと呼ぶ人材は、重役レベルの2000人を含めて社内に約1万3000人おり、そのすべての人物がリーダーシップセンターで訓練を受ける対象となっている。マネージャー、あるいはリーダーへの移行期にある人間、まだマネージャーではないがそのポテンシャルのある人間、上級の重役レベルまで、あらゆるレベルの社員が含まれる。

 リーダーシップセンターには202室のホテル並みの宿泊施設と教室が整備されており、年間3000~5000人が研修を受けている。ボーイングがこれだけの投資を行っているのは、リーダーシップが企業にとってどれだけ重要であるかを認識しているからだ。

――リーダーシップセンターではどのような教育を受けるのか。

 どんなグローバル企業も、優れたリーダーシップを開発することに成功しているからこそ、今の姿がある。まず、そのことを強調しておきたい。

 質問に戻れば、ボーイングでは、リーダーたちが6つの特性を身につけられるように教育している。順を追って説明しよう。