「性暴力と刑法を考える当事者の会」を含む4団体から成る「刑法性犯罪を変えよう!プロジェクト」は、これまで与野党に対して根気強くロビー活動を行ってきている。自民党の中では特に上川陽子議員、若狭勝議員らが性犯罪刑法の改正に強い関心を示してきた。

 しかし今国会では、刑法性犯罪よりも後に閣議決定した共謀罪法案が先に審議入り。共謀罪法案の優先に加え、今村雅弘元復興大臣の辞任劇も審議の遅れを招いたと指摘する報道もある。共謀罪の審議が長引けば、6月18日までの会期に間に合わない可能性がある。4月27日には「刑法性犯罪規定改正を望む有志一同」が、「性犯罪刑法の改正審議を、共謀罪の後回しにしないで」と、性犯罪刑法の早期審議を求める8000人の署名を自民・公明に届けている。

 山本さんら「刑法性犯罪を変えよう!プロジェクト」は、この署名活動には直接かかわっていない。会見では記者たちから共謀罪の優先についての質問が相次いだが、出席者らは「見守るしかない」など、なるべく明言を避けたように見えた。何度目かの質問でようやく山本さんが「被害者の人権が後回しにされたと感じます」と口にした。

 改正を求めてきた側からすれば、今国会での改正は悲願だろうが、共謀罪との「勝負」を持ち出してしまえば、別の議論に巻き込まれることになりかねない。「どんなかたちであっても今国会で必ず改正実現を」という言葉からは、難しい立場に置かれてしまったことへの苦渋が感じられた。

「性犯罪の厳罰化」だが、
積み残された論点も

 山本さんは会見で「(改正法案が)通ればいいということではない」「(改正だけではなく)充分な議論を」とも話した。今回の改正案は一般的に「性犯罪の厳罰化」と言われているが、実は改正が検討された項目のうち半分以上は法案化が見送られている。

 閣議決定までを簡単にまとめてみよう。

 性犯罪刑法に関しては、2014年、松島みどり法務大臣(当時)が改正を主張した。「強姦罪の懲役が3年以上、強盗罪が5年以上」、物を奪う方が罪が重いという明治時代の考え方がまだ刑法に残っているのではないかなどの指摘だった。同年から2015年8月まで検討会が設けられ、2015年11月から2016年6月にかけての法制審議会で修正案がまとめられた。