テクノロジー業界を熟知するプライベートエクイティ(PE)投資会社が、ゴーダディー(Go Daddy)の買収で近く合意に達するとの報道が出回っている。買収額は20億から25億ドルという。
ゴーダディーは、インターネットのドメインネームを売る(インターネットの住所にあたるドメインの登録を手掛ける)会社で、他にもウェブホスティングや企業向けのサービスを展開していることで知られる。
一方、同社を買収しようとしているのは、KKR(コールバーグ・クラビス・ロバーツ)、シルバーレイク・パートナーズ、テクノロジー・クロスオーバー・ベンチャーズの3社。KKRは業界最大手、シルバーレイクはIP電話のスカイプやネットワーク会社のアヴァヤに投資したことで知られ、またテクノロジー・クロスオーバーは話題のフェイスブックやグルーポンに投資している
ちなみに、スカイプは、2009年にイーベイに20億ドルで買い上げられ、先頃マイクロソフトに85億ドルで売却された。そんな儲け話に敏感な投資会社がなぜドメインネームビジネスという一見地味な世界でひと勝負しようと思ったのか、関心が集まるところである。
ゴーダディーは1997年に、アリゾナ州スコッツデールで創設された。ドメインネームは当初、ネットワーク・ソリューションズという企業が独占して売っていたが、その後ICANNというドメインネームを管理するNPOの認証を得た複数の企業によって取り扱われるようになった。
ゴーダディーはそこに早くから参入。ドメインネームビジネスの最大の担い手となるまでに成長した。ところが、同社が有名な理由はそれだけではない。
ドメインネームビジネスは、テクノロジーの専門家が率いるとかく真面目で地味なものと思われがちだが、ゴーダディーはその型を破って、生真面目とはほど遠いイメージを打ち立ててきたのである。
よく知られるのは、スーパーボールのコマーシャルだ。「ゴーダディー・ガールズ」と称されるピチピチ・ボディのモデルや女優を多用。また、カーレースにも大枚をはたき、NASCARなどで車体を「Go Daddy」のロゴで塗り込めた車を走らせたりしている。
さらに同社創設者でCEOのボブ・パーソンズは、何かと話題の多い人物だ。自身のブログは、本人がゴーダディー・ガールズと一緒に登場するビデオブログの趣向で毎回人生の教訓やら子供たちへのアドバイスが盛り込まれている。いまやスマートなCEOが多いテクノロジー業界にあって、ダミ声でがなり立てるパーソンズはかなり珍しい存在なのだ。