人間の本能は
近親相姦を嫌う!?

 また、近親相姦の禁忌について最近、重要視されているのが1891年に人類学者のエドワード・ウェスターマークが提唱した「幼少の頃からきわめて親密に育った人々の間に、性交に対する生得的な嫌悪が存在する」という説だ。「ウェスターマーク効果」と言われている。

「ウォルフという人類学者の調査によって、ウェスターマーク効果が統計学的に復活してきました。本当の兄弟姉妹であろうが、血のつながっていない養子や継子であろうが、幼少時から一緒に育った男女は、成人してもその相手と性交したがらないという結果が出たのです」

「別に学問的に考えなくても、単純に自分の兄弟姉妹や親に欲情する人はいないでしょうから、これは実感として、納得できる人は多いでしょう。この100年以上前の学説がいま見直されているんですよ。ただし、幼少の頃から一緒に育つことにより近親性交の回避が起きる理由については、ほとんど分かっていません」

 ウェスターマーク効果は本能的に近親相姦の禁忌が存在することを証明し、レヴィ=ストロースの説は文化の面で近親相姦の禁忌がある理由を説明している。このような人文科学系のアプローチに自然科学系のアプローチが加われば、今後、タブーとされてきた意味の解明が、より進むかもしれない。