電力業界におけるレジスタンスである。6月2日、関西電力と中部電力、北陸電力の3社は、送配電部門の連携を強化することを決めた。
経済産業省は推定総額21.5兆円にも上る福島第一原子力発電所の廃炉や賠償、除染の費用を確保していくために、その中心的役割を果たす東京電力ホールディングスの収益力強化を目指している。そのために東電には他電力と送配電や原子力事業の再編・統合を進めるように指導。東電が5月に発表した新たな経営計画「新々総合特別事業計画」には、送配電事業において2020年代初頭に共同事業体をつくることが明記された。
だが、巨額の福島関連費用を背負い、かつ、国の管理下にある東電と組むことに、他電力全社はそろって拒否反応を示していた。特に岩根茂樹・関電社長は「共同事業体は考えていない。ニーズもない」と明確に否定。再編しなくとも連携強化は進められるという考え方を示していた。
その考え方通り、3社はもともと送配電部門で設備の効率的運用や保守業務、災害時の応援などの協力関係を築いてきた。供給エリアが同じ周波数帯であることや、関電が富山県や長野県等に水力発電所を保有している関係で、送配電施設が供給エリアを跨いで設置されていたからだ。