「1泊2日で帰れるから」
騙されて施設に“監禁”された青年
「親とは会話がない。支援団体に売られたことに不信感を今も抱き続けている」
首都圏の郊外に住む20歳代のAさんは、中学生のときに学校へ行かなくなり、引きこもった。学校へ行っても自分だけ友人ができず、コンプレックスに悩んでいたことがきっかけだ。
学校では、仲間外れにされたり、いじめられたりして、いつも孤独だった。家でも、「なんで学校に行かないのか?」と、母親から責められた。
でも、親には本当のことは言えなかった。父親は終始、無関心だった。この世の中で、自分だけが変わってるのだと思っていた。中学には通わなかったものの、高校を受験して入学した。「これで変われるかな」と思った。
しかし、周りは友人ができていくのに、自分だけ取り残されていく。孤立感は深まるばかりで、やがて学校に行かなくなった。
「自分は友だちになりたいけど、向こうはどう思ってるのかな?」
そういうことを考えると、話しかけていいのか考え込んでしまうのだ。
電車に乗ると、ドキドキしたり、急に汗が出てきたりして、外に出るのもためらうようになった。
数年後のある日、自分の部屋でテレビを見ていると、母親から「カウンセリングの人が家に来るよ」と聞かされた。これまでにもカウンセラーに会いに行ったことがあったので、訪問型のカウンセリングなのかなと思っていた。
しかし、いきなり母親が部屋のドアを開けると、体格のいい怖そうな男性が一緒に立っていた。
「なんで引きこもってるの?」「このままじゃダメだ」「親があなたを捨てたらどうするんだ?」
不安を煽られるようなトークで、一方的に追い詰められた。
カウンセリングだと思って、悩みを打ち明け始めると、「そんなの気のせいだ!」と制止された。そして男性は、「このまま引きこもっていたら危ない。あなたを施設に入れないと」などと話した。