しかし、便利であるが故に冷食には「手抜き」のイメージがある。ベルメゾン生活スタイル研究所が20~60代女性を対象に、16年に実施したアンケートによると、実に56%の人が、冷食は手抜きだと感じている。「冷食の味は進歩しているが、積極的に食卓に出すことに罪悪感を感じる人も多い」と、小売り関係者は言う。

「中食化」する内食

 罪悪感は過渡期を経て消えるかもしれないが、加減よくその感情を薄める簡易食材が目下、需要を広げている。サラダクラブなどが販売するパッケージサラダ(カット野菜)の15年の市場規模は12年と比べて68%拡大。キッコーマンが「うちのごはん」シリーズを展開する家庭用和風そうざいの素市場も同約40%増となっている。

 加えて、ここにきて話題となっているのが「ミールキット」だ。必要な食材があらかじめ計量されてレシピと一式になっており、最後の調理だけを行う。食材を買う時間や献立を考える手間が省ける上、食材そのものが“見える”ことが健康志向ともマッチした。米国では急速に浸透しており、ミールキット最大手の米ブルーエプロンは6月末にIPOを実施。25年までに市場規模は350億ドルまで成長するとの予想もある。

 日本では、41年も前から夕食食材として展開してきたヨシケイ開発や、おしゃれ感のあるキット「テイスティテーブル」を販売するブレンドなどが存在感を放つ。現状、宅配モデルが一般的なキットだが、「キットオイシックス」を展開するオイシックスドット大地はナチュラルローソンでの販売を検討するなど、販売チャネルの拡大も狙う。

 いずれ冷食に帰結するのか、さまざまな形態が共存するのか──。急拡大する時短ニーズの争奪戦はプレーヤーが入り乱れ、激しさを増すばかりだ。

(「週刊ダイヤモンド」編集部 山本 輝)