では、将来にわたってビットコイン建て社債は意味をなさないのだろうか。ビットコイン建てで投資できるビジネス環境があれば、前述の前提は変わる。たとえば、いつの日か今よりもずっと多くのビットコインが決済通貨として流通する時代が来たとする。様々な企業がビットコインで仕入れてビットコインで商品を売る。

 そういう世界であれば、ビットコイン建て社債はファイナンス手段として成立する可能性がある。しかしなかなかそうならないのは、ビットコインがどの通貨に対してもこれまでずっと値上がりしてきたからだ。

 この状態のままでは、ビットコインで仕入れてビットコインで売るというビジネスが成立しない。実際の例で考えればわかる。今1BTC=45万円だが、先月は1BTC=22.5万円だった。つまり先月1BTCで仕入れた商品は、今月には0.5BTCの価値しかもっていないことになる。

 ビットコイン建てで商売をしていると、仕入れて1ヵ月で商品価値が半分に下がってしまう。仮にマージンを加えて0.7BTCで売れたとしても、それでも0.3BTCの赤字である。こんな状態では、怖くてビットコイン建てのビジネスなどできないのだ。

 結局そう考えると、いくらビットコインが人気でもビットコインが通貨として流通する時代は、そう簡単には来ないことになる。だとすれば、社債発行の目的が資金調達ではなく、たとえば社会啓蒙などの別の目的のような場合以外には、ビットコインでの資金調達はできないというのが実情なのである。

ビットコインによる資金調達の
リスクは常に値上がりしていること

 さて、お気づきだろうか。

 今回の話で言えば、ビットコインで資金調達する意味がない理由も、ビットコインがリアル通貨のように流通しない理由も、どちらも根っこにある問題は「ビットコインが常に値上がりし続けている」という事実にある。

 だから、少なくとも今日のところまでは、ビットコインで儲けるには借りたり、使ったりするのではなく「買ってずっと持っておく」ことが正しいという話に落ち着くのだ。「じゃあビットコイン、買いますか?」という話になるのだが、この先はあくまで自己責任でお願いしたい。

(百年コンサルティング代表 鈴木貴博)