高齢者や低所得者に空家を貸し出す「セーフティネット住宅」の闇と光

住宅困窮者への「安全・安心住宅」

 国交省が高齢者や低所得者、障害者などに向けて、空家を貸し出す新たな住宅政策を始める。名付けて「セーフティネット住宅」。住宅困窮者への「安全・安心住宅」というわけだ。

 貸すのは新築ではない。全国に広がっている空家に着目した。その着想自体はとてもいい。国交省のかねてからの課題の空家対策と自宅暮らしが難しくなった単身高齢者などの不安解消を結びつけた、一石二鳥のアイデアだ。国交省では入居者を「住宅確保要配慮者」と名付けた。分かり難い日本語だ。

 この4月に公布された「住宅確保要配慮者に対する賃貸住宅の供給の促進に関する法律(住宅セーフティネット法)の一部を改正する法」によるもので、10月には施行される。

 空家、空き室を抱える大家さんが、都道府県と政令市、中核市の自治体にセーフティネット住宅として登録する。自治体はその登録情報を地域住民(住宅確保要配慮者)に知らせ、入居者を募る。大家には最高200万円の改修費、入居者には最高4万円もの家賃補助が国や自治体から出る。

 入居できるのは高齢者だけではない。賃貸住宅への入居が難しい人たちを想定している。障害者や子育て者、被災者、月収15万8000円以下の低所得者、外国人、失業者、新婚世帯、DV被害者などとかなり幅広い。