スマートフォンを操作するフード姿の人物写真はイメージです Photo:PIXTA

暴力団排除条例によってヤクザが衰退した一方で、勢力を拡大しているのが匿名・流動型犯罪グループ(トクリュウ)だ。強盗や詐欺といった経済犯罪で世間を騒がせているが、注目すべきはそのメンバー構成である。かつて半グレと言えば、暴走族OBなどの非行少年が中心だったが、現在は中高生や大学生、会社員といった普通の人が関与するようになっているという。※本稿は、犯罪社会学者の廣末 登『ヤクザが消えた裏社会』(筑摩書房)の一部を抜粋・編集したものです。

暴力団を抜けても
半グレしか道がない?

 2007年に犯罪対策閣僚会議が示した、金融機関における暴力団排除の政府指針は更に徹底され、現在、暴力団や半グレなど反社会的勢力との関係を確認する企業コンプライアンスは常識となっています。

 この基準をもっと簡単にいうと、警察庁や銀行のデータベースに登録されている者はもちろんアウト。ネット上に、過去に暴力団組員としての逮捕歴があったり、特殊詐欺などの前歴がある、あるいは、暴力団と「もちつもたれつの関係がある」と当局が認定した者などは、銀行口座の開設が危うくなるということです。大企業に勤めていた人、国家資格を有する人であろうとも、ネット上に過去の犯罪記事が出たら、どの企業でも採用してもらえないのです。

 そうすると、自営業や親族の会社に雇われる者以外、離脱者には社会的居場所がありません。人間は社会的動物ですから、1人では生きられません。「居場所」や「受け皿」は、暴力団離脱者に限らず、我々誰しも人間には不可欠なのです。

 さらに悪いことに、社会復帰が実現できない結果、暴力団を自らの意思で真正離脱したものの単独で犯罪に従事したり、トクリュウに加入する元暴アウトロー(暴力団をやめて犯罪を続ける者)の犯罪が増加する懸念が生じています。