ベニヤ板を持ってきた起業家を支援した理由

 2011年、僕が代表を務めていたMOVIDA JAPAN(モビーダ・ジャパン)で、起業家支援プログラムを行うことになりました。シードアクセラレーションといって、育成プログラムの提供と少額投資を同時に行い、起業したばかりの若者を支援する事業でした。

 その1期生の選考の際、ベニヤ板を持ってきたのが、ココアの佐藤さんたちでした。ベニヤ板にキャスターを付けゴロゴロと転がして「これでお願いします」と言いました。「センサーやモーターはないの」と尋ねると、「ないですが、研究はしています」と。頭に構想はあるものの、試作品まではできていないということでした。

 モビーダ側の審査員たちは、僕以外、全員反対しました。もちろん、僕も「何じゃこりゃ」と思ったのですが、その一方で「面白い」とも。「これが実現したらすてきだな。乗ってみたいな」と感じたので支援することにしました。

 それから、佐藤さんたちはおよそ6年もの間、研究と開発を続けています。その間の収入はゼロで、出資もほとんどない。それでも諦めずに開発を続けてきたのです。

 彼らを見ていると、「成功とは、成功するまで続けることである」という松下幸之助さんの言葉が頭に浮かびます。やはり成功への道とは、彼らのようにやり続けることだと思います。

 その点、僕にも失敗はありません。山のように「中断」したプロジェクトがあるだけで、全て「途中」ですからね(笑)。