寝不足と加齢臭のストレスで集中できない
運送会社勤務Bさん(45歳)
営業所勤務で汗を流した若手時代
日本経済を下から支える誇らしさも
Bさんは、大手運送会社の宅配部門ではなく企業の引っ越しを請け負う部署の管理職だ。若い時は、営業所に勤務し、大きなトラックの助手席に乗って日本中を走った。寡黙なベテランドライバーさんと、静かに世間話をしながら、深夜放送のラジオを小さくかけて夜中の高速道路を走るのは気持ちよかった。
サービスエリアやパーキングエリアで仮眠をとり、その土地の名物のラーメンを食べてまた走る。風呂や温泉も一緒に入る。上司や得意先に怒られて辛い時も、ドライバーさんはいつも穏やかで優しかった。大きなハンドルを握る手をいつも横から、頼もしく見つめていた。
仕事はきつく、泊り仕事も多かったが、大切な荷物を運んでいると、日本の経済を下から支えている実感があって誇らしかった。営業所にはシャワーもあったが、徹夜明けは同僚と近所の銭湯によく行った。明るいうちから銭湯の湯に浸かり、汗を流して、洗濯したての作業着に袖を通すとまた、頑張ろうという気になるから不思議だった。
40歳で本社勤務、そして結婚
周囲も驚くほど身だしなみに気をつけるように
Bさんは、40歳のときに本社勤務になり、トラックの助手席に乗ることもほとんど無くなってしまった。そして私生活にも大きな変化があった。自分は一生独身だろうと思っていた矢先、所帯を持つことになったのだ。卒業してからはじめて気まぐれで参加した中学の同窓会で、当時独身だったBさんの奥さんに再会して意気投合。出会いから式まではあっという間だった。
Bさんは結婚して、身だしなみを気にかけるようになった。毎晩、湯船に浸かり、朝はシャワーを浴びてから出社した。まさか自分が朝シャンをするようになるとは思わなかった。プレスされたワイシャツを着て、スーツとネクタイのバランスを合わせて、靴を磨き、ひげを剃り、1ヵ月に1回は床屋で髪を切った。営業所時代は、ほとんど作業着だったので同僚も自分もこの変化に驚いた。