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スマートフォンの理想と現実

誤報なら良かった!このまま撤退で良いはずがない
シャープのガラパゴス事業に期待される進化

クロサカタツヤ [株式会社 企/株式会社TNC 代表]
【第7回】 2011年9月21日
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 この対策として、Wi-Fi経由で固定網にトラフィックを逃がすオフロードが進められている。ただこの使い勝手は必ずしもいいものではなく、あくまで補助的な位置づけにとどまる可能性がある。となると、無線通信インフラを屋外でジャブジャブ使うというこれまでの利用スタイルは、当分見直さなければならなくなる。

 この時、スレート型端末の使い方が、スマートフォンのように屋外に持ち歩くものではなく、自宅やオフィス、あるいは通勤途中などのまとまった時間にじっくり使う、というものになっていくかもしれない。そもそもスレート型端末は「座ってじっくり使う」という利用シーンを想定していることもあり、むしろその方が自然でもある。

 こうした変化は、スレート型端末そのものがどこでどのように売られ、またコンテンツはどのような経路で提供されるのか、というサービスとしての成り立ちそのものをも、変化させる可能性がある。そしてそれは、たとえば固定通信事業者やISP、あるいはCATV事業者といった、これまでの想定とは若干異なるプレイヤーが、カギを握るようになるかもしれない。

 市場環境が変化する可能性があることを踏まえても、現時点ですでに参入している以上、ガラパゴスがこのまま撤退するのは、まだ早すぎる。そして「アップル、グーグル、アマゾンの黒船トリオに任せてしまえばいいじゃないか」と言い放てるほど、日本の情報財市場(とそれを裏付ける文化の蓄積)は小さくない。失敗を正しく受け入れた上で、まだファイティング・ポーズは、構え続けるべきだろう。

世論調査

質問1 ガラパゴス事業から撤退しないというシャープの経営判断は正しい?



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クロサカタツヤ
[株式会社 企(くわだて)代表取締役、慶應義塾大学特任准教授]

1975年生まれ。慶應義塾大学・大学院(政策・メディア研究科)修了後、三菱総合研究所にて情報通信分野のコンサルティングや国内外の政策調査等に従事。その後2007年に独立し、現在は株式会社企(くわだて)代表として、通信・メディア産業の経営戦略立案や資本政策のアドバイザー業務を行う。16年より慶應大学大学院政策・メディア研究科特任准教授。


スマートフォンの理想と現実

2011年はスマートフォンの普及が本格化する年になる…。業界関係者の誰しもがそう予感していた矢先に発生した東日本大震災は、社会におけるケータイの位置づけを大きく変えた。しかし、スマートフォンの生産に影響が及びつつも、通信事業者各社はその普及を引き続き目指し、消費者もまたそれに呼応している。震災を受けて日本社会自体が変わらなければならない時に、スマホを含むケータイはどんな役割を果たしうるのか。ユーザー意識、端末開発、インフラ動向、ビジネスモデル等、様々な観点からその可能性と課題に迫る。

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