影響を受けている人が
安心感を持てるためのセッション

 葬儀では故人を「思い出」とともに見送るともに、死と向き合ったときの複雑な感情を語り合い、「心の整理」をする場となる。この「悲嘆のプロセス」を適切に進めていくことで、関係者は故人の死を受け入れることができ、個々の経験となっていく。

 この悲嘆のプロセスの一つに、「グループセッション」という方法がある。
 簡単な事例を紹介しよう。

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 職場で自殺した男性社員の葬儀が終わった数日後、上司の呼びかけで数人が集まることになった。会合は強制ではなく、自由参加だった。

 ファシリテーターは、ゆっくりした口調で、こう口火を切った。
「みんなが、いま、思っていること、心配していることなどを率直に話してみませんか。話したくない人は、黙って聞いているだけでも構いません」
「ただし、誰が悪いなどの個人的な批判はしないことを約束しておきましょう」

 メンバーは、それぞれの語りで悲しみを打ち明け始めた。男性社員はこんな話をした。
「最近、会社帰りに銭湯に行くことが多くなって。実は、家の風呂場に入ろうと考えるだけで(亡くなった人が)まぶたに浮かんでくるので……」

 この社員は、男性の無断欠勤が続いた時期、心配のあまり自宅へ見に行ったところ、浴室で亡くなった同僚を目撃した。会社では、その後も普通に仕事をしていたため、家でそんなふうに一人で苦しんでいたとは、誰も気づいていなかった。

 そこへ、別の男性社員も声をあげた。

「先輩もそうだったんですか。私も、なんです」この社員も浴室で遺体を発見した一人だった。こちらは既婚者だったので、自宅で風呂に入っていたが、浴室のドアを開け放していると話した。「テレビの音や家族の話し声が気を紛らわせてくれるので」と言う。

 このほかにも、親しかった同僚や部下が「食欲がわかない」「悲しみが続いている」などの話をした。

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