『リーダーシップの王道』の中で、ベニスとナナスは取り上げたリーダーが持つ4つの共通項を明らかにした。この4項目が彼らのリーダーシップ観の核となっている。

(1) ビジョンによる結束

 全員が他者を引き込む構想や情熱的なビジョン、使命感を持っていた。リーダーはまた周りの人々にも並々ならぬ注意を払う。

(2) コミュニケーションによる説得

 全員が、時には図やモデルや比喩的表現や例え話を用いて、自分のビジョンを相手に伝え、はっきりと理解させ、駆り立てる能力を持っていた。

(3) 方向づけによる信頼獲得

 リーダーたちはビジョンを実行するための自分の立場を一連の行動をもって確立し、それを一貫して継続することにより信頼を築き上げていた。

(4) 積極的自尊心による自己開発

 自己の創造的開発はリーダーにとって不可欠である。それを通して、自分がどういう人間で、どんな価値を持っているかを掛け値なく正直に評価し、他者に信頼感を与えるのである。自尊心を構成する3つの要素は、自分の長所をよく心得ること、それを大事にしさらに発展させること、自分の長所や短所と組織のニーズの適否をきちんと認識することである。

 積極的自尊心は「心の知恵」と関係があり、心の知恵には次のような5つの重要な能力がある。