現在の活動である「HELPUSH」もそうした考えから始まったもの。実際に日常生活で車イスを押したことのある人はまだ少ない。車イスの実態について“マス”を通じて伝えるのではなく、全国を訪れて気軽に押してもらう。短い時間ながらも一対一で「対話」をし、「他人」から「友人」になることで、距離が一気に近くなるのだという。

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 紆余曲折を経て寺田がたどりついた答えは、大学生の頃に感じた「気軽に笑い合える空間」を、車イスを押してくれた一人ひとりと作り、全国に広げていくというものだった。

 もちろんうまくいくことばかりではない。積極的にSNSを使って情報を発信していると、誹謗中傷にさらされることも少なくない。だが寺田は、ブレることはない。

「いつも試行錯誤です。トライ・アンド・エラー。いや、トライ・アンド・エラーエラーエラーくらいかな(笑)。昔やっていた野球の100本ノックも、5本くらいしか取れなかったんです。僕の人生も同じく失敗ばっかり。でも、それでも少しずつ変化して進んでいるから、それでいいんじゃないかな」と明るく笑い飛ばす。

 寺田の好奇心は障害を軽々と超えていっているようだ。(敬称略)

(記事提供:Qreator Agent)