2013年1月に決定された生活保護基準引き下げ(2013年8月より実施)は、就労支援の促進と並行して行われている。生活保護基準を引き下げ、就労モチベーションを高めれば、働かない人々が働くようになるのだろうか。

生活保護費削減の一方で
「稼げば収入が増える」は本当か?

生活保護基準を引き下げ、就労モチベーションを高めれば、働かない人々は働くようになるのか。障害者作業所に集まる人々の生活とは

 2013年1月に決定された生活保護基準引き下げ(2013年8月より実施)は、就労支援の促進とセットになっていた。もしも「生活保護があるから甘えてしまい、働ける人まで働かなくなる」という俗説が事実ならば、生活保護基準の引き下げは、そのまま就労につながることになる。 2013年12月、生活保護法改正とともに成立した生活困窮者自立支援法によって、就労促進の制度化も行われている。

 では、生活保護基準引き下げは、本当に就労を促進しているのだろうか。今回は、「働ける・働けない・働く・働かない」の差が紙一重になりがちな精神障害者の就労を中心に、変化の様子を見てみたい。

 はじめに、下の表を見ていただきたい。一連の生活保護基準引き下げの直前にあたる2012年と、生活費・家賃補助・暖房費・その他細かな引き下げが行われた後の2016年で、単身者に対する生活保護での生活費がどのように変化したかを示している。

 地域は「2級地-1」だ。生活保護制度では、自治体は生活コストに応じて6区分されており、「2級地-1」は高い方から3番目にあたる。栃木県宇都宮市・富山県富山市・愛媛県松山市など、県庁所在市(政令指定都市を除く)の相当数が該当する区分だ。年齢は、金額が最多となる20~40歳とした。

 健常者または障害者(障害等級3級)に対しては中心の「生活費合計(障害者加算なし)」が、障害者(障害等級1・2級)に対しては右側の「生活費合計(障害者加算あり)」の金額となる。

 2012年から2016年にかけ、障害者加算がない場合、月々の生活費は4650円減少した。障害者加算がある場合も、5150円の減少となっている。「100万円が99万5000円になった」という場合とは次元の違う節約、または次元の違う収入増加が必要になるはずの場面だ。