「人口が減少し、膨大な財政赤字を抱え、経済も低迷し続ける。会社の業績も上がらないので、給料も増えてない。下手をすればリストラの憂き目に会うかもしれない。こんな世の中で住宅ローンや子供の教育費をどうすればいいのか……」
将来に対して、このような不安を持っている人は多いのではないだろうか。確かにこのような不安を持ち、世の中に閉そく感が漂っている理由はいくつか存在する。日本は先進国の中でも人口減少社会を先取りし、人口減少の中でどうやって社会保障制度を持続させるかについて議論されている。さらには、「失われた20年」と呼ばれるように経済は低迷し続け、今後大きく成長する見込みも、今のところ見当たらない。このままが続くと未来はどうなってしまうのだろうか。
ワークス研究所では、2020年の労働市場や失業率、産業構造の予測を試みた。残念ながら普通に予測を行うだけでは、未来は暗いという結論になる。そこで我々は暗い未来の中でどれだけ希望の兆しがあるのかについて探ってみた。以下では予測の成果をご紹介しつつ、暗い未来を変えていくためには、何をすればいいのかについて考えてみたい。
2020年を特徴付ける3つのポイント
早速ではあるが、2020年予測結果のうち、主要なものは下記のようになる。
(1)人口減少により懸念される人手不足は起こらず、失業率はさらに高まる。
(2)製造業で働く人は減り続け、サービス業で働く人は増え続ける。
(3)団塊ジュニアに関する人材マネジメントが、企業にとって大きな課題になる。
それぞれについて説明したい。
まず、(1)について2010年の失業率が5.1%であるが、それが2020年には6.6%まで上昇する。失業率は0.1ポイント動いただけで6~7万人の失業者の増減をするので、10年間で1.5ポイントも上昇すると、これは大きな変化である。さらに、日本では戦後の混乱期やそれ以前を除いて、いまだかつて失業率が6%を超えたことはないので、それだけ2020年の雇用は厳しくなるといわざるをえない。