『アルフレッド・アドラー 一瞬で自分が変わる100の言葉』がダイヤモンド社から発売されたことを記念して、20万部突破の第一弾『アルフレッド・アドラー 人生に革命が起きる100の言葉』を特別公開します。アドラーの厳しくもあたたかい言葉に、あなたも勇気づけられてください。

叱られたり、ほめられたりして育った人は、
叱られたり、ほめられたりしないと行動をしなくなる。

なぜ、子どもや部下を「褒めて」はいけないのか?

 いまだにアメとムチ、すなわち、ほめたり叱ったりすることで人を育てることが正しいと信じている人が多くいます。それは明らかな間違いです。ごほうびやほめ言葉につられて、私たちの言う通りの行動を取る人がいたとしたら、その人は自分の意思で行動しているのではありません。

 ですから、私たちがごほうびやほめ言葉をやめてしまえば、その行動を取らなくなります。つまり、ごほうびやほめ言葉で相手を釣る限りは、一生それをやり続けなくてはならないということになります。しかも、私たちが見ていないところでは、相手はその行動を取らなくなる。私たちが見ている時にしか、その行動を取らないのです。

 その逆であるムチ、すなわち罰や叱ることで相手の望ましくない行動を防ぐのも同じことです。自分の意思で行動をやめるのではないのですから、強制がなければ問題行動を続けるに違いありません。私たちの監視の目が届かないところでは、相手は問題行動を取るでしょう。つまり、アメとムチは何の問題解決にもならないのです。

 それだけではありません。アメとムチ、ほめたり叱ったりすることでコントロールをされることに慣れた相手は、自分をほめてくれない時に私たちを敵だと思うようになります。「なぜほめてくれないのか?」と責めるのです。私たちは相手をコントロールしようとしてはいけません。それは教育ではありません。むしろ逆効果になってしまうからです。

なぜ、子どもや部下を「褒めて」はいけないのか?アルフレッド・アドラー Alfred Adler(1870年-1937年)
オーストリア出身の精神科医、心理学者、社会理論家。フロイト、ユングと並んで現代のパーソナリティ理論や心理療法を確立した1人。個人心理学(アドラー心理学)を創始し、『7つの習慣』のコヴィー博士、カーネギーらに影響を与えた。「自己啓発」の源流である。

※本連載は日曜日以外の毎日更新します。