鮮明になったトランプ取引外交、日本も対中政策見直す時期写真:首相官邸HPより

 トランプ大統領のアジア訪問から多くの事が見えてきた。

 特に北東アジアでは文在寅韓国大統領就任から半年、日本では選挙で勝利した第四次安倍内閣が発足し、中国では習近平総書記が党大会を経て政権二期目を発足させて間もない。その中でトランプ大統領のアジア訪問が地域に与える影響はすこぶる大きい。

北朝鮮問題に貿易赤字問題
二国間での「取引的姿勢」が鮮明に

 まず、トランプ大統領の外交姿勢から見てみよう。

 今回の訪問で色濃く見えたのは「アメリカ第一」の「取引」的な姿勢だ。

 これまで公職に一切携わらず不動産事業を営んできたトランプ大統領の外交が、慣れ親しんだ商取引的アプローチをとるのは何ら不思議な事ではない。

 貿易問題をめぐる従来の米国の主張は、自由貿易のための市場開放、すなわち機会の平等という事だったが、トランプ大統領の主張は米国の雇用を拡大する事であり、建前としての自由貿易ではなく現実に米国の貿易赤字を減らすことである。