陥りがちな思考の罠に迫る「カイゼン!思考力」。今回は、「軽率な模倣」を取り上げる。
――問題です
以下のAさんの問題は何か。
Aさんはある中堅食品メーカーのプロダクトマネジャー。現在、シェア15%で業界第3位のブランド「X」のテコ入れについて検討をしている。
「さて、どうすれば『X』をテコ入れができるかな。調査によると、現状の差別化ポイントである『フレッシュさ』では訴求力が弱いという結果が出ている。いま、うちはシェア3番手だけど、ナンバー1ブランドは『本物感』を打ち出しているし、ナンバー2ブランドは『老舗の味』を打ち出している。どちらも言ってみれば『正統派』ということを前面に出しているわけか。新規参入してきた有名海外ブランドの『Y』も『本場の味』をキャッチコピーにしているから、これもある意味『正統派』ということだな…。比較的年配者のユーザーが多いこの商品カテゴリーでは、やはりその方が受けるのだろうか。うちの売りである『フレッシュさ』もだいぶ浸透してきたことだし、ここは『本格派だけど新鮮』みたいな感じに変えてみようか…」