スタートアップ企業(ベンチャー企業)を生む新たな“聖地”として世界の注目を集めているフランス。その背景には政府の支援とともに、「パトロン」と呼べる大富豪の出資やサポートがある。特集第3回は、起業家支援のための巨大施設を中心に、パトロン文化について取り上げる。(週刊ダイヤモンド編集部 小島健志)
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世界中から見学が殺到
パリの巨大な起業支援施設
「霞が関の省庁関係者ですら、見学したくてもできない」(フランス大使館関係者)
今、フランス・パリの下町にできたある施設に、世界の行政関係者の見学依頼が殺到している。あまりの申し込みの多さに、大使館経由でも簡単には許可が下りない状況だという。2017年6月にオープンした起業家の育成、支援を行う「Station F(ステーションエフ)」である。
驚くのは、その規模だ。大きさは3万5000平方メートル(東京ドーム0.7個分)を誇り、同種の施設においては世界最大級だ。3000人以上を収容し、約1000社のスタートアップ企業が入居している。
建物は、幅58メートル・長さ310メートルの縦長サイズで、三つのホールが連なって一つの施設となっているのが特徴で、端から端まで歩くのに10分以上掛かる。日本でいえば、東京国際フォーラムや東京ビックサイトにオフィスが入ったイメージだろうか。
今年10月下旬、特別にその施設に入ることが許された。