M&Aに手詰まり感
海外展開は新興国にシフト

 課題の二つ目は、海外だ。JTは07年に英ギャラハーを約2兆円で買収するなど、“M&A巧者”として知られてきた。だが、世界2位の英ブリティッシュ・アメリカン・タバコが世界6位の米レイノルズ・アメリカンを今年買収したように、世界的にたばこ企業の集約が進んでいる。大型買収のチャンスが先細りし、JTの世界3位の位置が固定されつつある。

 今年は、フィリピンやインドネシアなど東南アジアでのM&Aが相次いだが、いずれも買収額は1000億円程度で、以前のJTからすれば、小粒な案件。成長市場とされるこうした地域でのシェアアップを狙うが、新興国でもたばこの規制強化の流れが進みつつある中、思惑通りに市場拡大を狙えない可能性もある。

 16年には、アメスピの米国外事業を約6000億円で買収した。だが、買収した事業の14年の税引き前利益は21億円と、買収額との差があまりにも大きく、高値つかみの懸念が消えない。

 確かに、アメスピは新製品の投入などで国内のシェア、販売数をアップさせており、7月からは生産を国内自社工場に切り替えるなど、順調に利益向上への動きが見られる。だが、足元では、のれんと商標権などの無形資産の合計は2兆円に上る(図(4))。抱えたのれんの減損リスクは懸念材料だ。

 寺畠新社長は、「海外にはまだまだいろいろな地域、案件がある。勝負がついたということはない」と言う。

 国内市場と海外M&Aの内憂外患に苦慮するJT。反転攻勢に懸ける新社長の手腕が問われる。