日銀の介入で円安トレンドへ転換なるか?
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 高成長か低成長かはともかく、日本経済が拡大傾向にあった時代は、外貨投資は無用で、国内の預貯金だけで十分な資産を確保できた

 しかし、少子高齢化とともに経済成長が難しくなるこれからの時代は、外貨投資を実践しないと後悔を招きかねない。そこで、短・中期的/長期的な視点から考えて、円高の今が海外資産に投資するベストタイミングである理由を7点にまとめてみた。

Part1
外貨投資へシフトする理由 短・中期編

「さらに円高が進む恐れがあるから…」と外貨投資を躊躇している人も、着実に変化しつつある情勢を冷静に観察しよう!

◆POINT1◆
日銀の円売り介入で円高トレンドもついに終了!?

 10月末日、日本の財務省は大掛かりな単独介入に踏み切り、「75円台の円高は容認できない」との姿勢を示した。その結果、米ドル/円相場は78円台まで円安方向へ反転したが、「単独介入の効果は限定的で、相変わらず米ドル売り/円買いを誘いやすい外部環境が整っている」というのが市場関係者の共通認識。

 どこまでも円高が止まらないという状況には、いくらか歯止めがかかった格好である。「円高だからチャンス!」と考えてすでに外貨投資を始めていた人は、さらに円高が進んで少なからずショックを受けていたはず。だが、今後はそういったパターンに陥るリスクが軽減されたとも言える。

◆POINT2◆
米国経済が立ち直れば米ドルが買われ円が売られる!?

 8月に米国国債の格付が引き下げられ、米ドルが売られて株も売られる。そして、米国の失業率が低下せず、いよいよ景気減速の懸念が強まってきたとの悲観論が大勢を占めて、またも米ドルが売られる「米ドル売りの材料探しゲーム」が繰り返されてきた。

 しかし、経済は循環するものであり、いつかは必ず上向く局面が訪れる。そうなれば、「米国経済が弱いから…」という米ドル売りの論法は通用しない。景気回復とともに、米ドルが買い戻される場面が訪れる。

◆POINT3◆
欧州問題が解決に向かえば円安方向へ一気に動く?

 米国経済の先行き以上に悲観論が飛び交っているのが欧州債務問題だろう。ギリシャだけにとどまらず他にも財政悪化国が散在しており、ユーロ圏で3番目の経済規模を誇るイタリアまでもがIMFの管理下に置かれたのだから、早期の抜本解決は難しい─。

 こうした主張はおそらく間違っていないだろう。だが、日本の不良債権処理がそうであったように、どんな難題もいずれは解決の方向に進むものだ。しかも、解決の道筋さえ見えてくれば、相場が先行してユーロが買い戻される可能性も十分に考えられる。ちなみに、03年4月に日本株が大底を打った際も同じパターンで、実際の不良債権処理完了はもっと後だった。