総選挙前に、安倍首相が打ち出した幼稚園や保育園、大学の「教育無償化」に向けた議論が迷走している。当初は、12月上旬に「2兆円規模の政策パッケージ」をまとめる予定だったが、与党などとの合意が得られないまま、詳細な制度設計は「有識者会合で細部を詰め来年夏までに結論を出す」と、先送りされた。
「教育無償化」議論の迷走
背景にさまざまな「逆転現象」
迷走は、無償化の対象をどこまで拡大するかなど、事前に選挙公約の内容について、議論を深めていなかったことが原因だ。
自民党内からは「負担できる方には負担をお願いするのが、今までの教育や社会保障政策の考え方だった。完全無償化はいかがなものか」などの、異論や反発が強まり、政府と与党との間で合意ができなかった。
世論もさまざま意見がある。
日本経済新聞社とテレビ東京による11月24~26日の調査では、例えば「3~5歳児の認可保育所の無償化」に対して、「高所得者は一定の自己負担をすべきだ」が57%と過半を占めた。「所得に関係なく無償化すべきだ」は26%、「所得に関係なく無償化すべきでない」は11%だった。