多数の仏メディアで話題となった全仏ベストセラー!世界22ヵ国で翻訳された猫に教わる人生指南書の日本語版『猫はためらわずにノンと言う』がこのたび遂に刊行された。

他人の目は気にせず、決して媚びず、欲しいものは欲しいと言い、プレッシャーに屈せず、エレガントで自信に満ち、ひとりでも平気……
子猫の時に事故にあい、左前足を失くした猫ジギーが、そんなハンディキャップをものともせず、むしろ「それが何か?」と気にもかけずに振る舞う姿は、常に他人の目を気にして、何かに追い立てられ、せわしく動きまわっている人間たちに、自分らしく生きるために本当に必要なことは何かを教えてくれる。ここでは本書から、一部抜粋して紹介する。
猫を飼っている人、猫好きな人だけでなく、猫のようにそこにいるだけで自然と一目置かれる存在になりたい人にも役に立つ!
何気なく見ていた猫たちの日常の仕草には、猫だけが知る深い人生哲学が込められていた!
明日から、猫を見る目が変わります。

猫はストレスを
正しくやり過ごす方法を知っている?

 ストレスは現代社会の大きな災いの種である。

 ストレスとたたかう方法、ストレスをやりすごす方法を考えてみよう。
 
 ここ数年ほどでリラックスするための方法がいろいろ考え出されている。
 でも、これはかえって問題だ。私たちの周りにそれだけストレスの原因が増え、ストレスを感じる人が増えてきたということでもあるのだから。

 高血圧や最近よく聞く「燃え尽き症候群」は、たえず崖っぷちに立っているように張りつめた緊張感が原因であることが多い。不眠症になったり神経が過敏になって不安でしようがなくなったりして、その結果、病気になる。

 どうしてそんなにひどくなるまでつらい暮らしを続けなくてはいけないのだろう。
 こんな現実は何とか変えてみたいと思うもの。
 
 猫はどうしているのだろう。
 猫はたいてい、ずっと続くストレスなんて感じていないようだ。
 猫は安らぎと安心そのもののように呼吸している。

 落ち着き払って静かにちょこんと座っている猫を見ると、筋肉にも瞳にも緊張のかけらも見えない。

 もちろん、猫にも緊張はある。彼らの緊張とは警戒だ。身の危険や静かで穏やかな日常を邪魔するものにはいつも注意を払っている。
 少しでもいつもと違うと感じたら、すぐさま耳を立て、じっと見つめて様子をうかがう。
 でも、そのいつもと違うものの正体がわかったとたん、すぐにもとの安らかな猫に戻って、日常のまどろみに入る。

 猫は身の安全さえ確認すれば、次の瞬間何事もなかったように緊張をとき、まるで頭が空っぽになってしまったような姿に戻ることができる。
 猫のストレスは、その場だけ。
 おそらく猫の力、その堂々とした静けさのカギはここにあるのだろう。

 いつも外の世界にかまうことなく瞑想にふけっているように見える猫にも、譲れないことはある。
 それは、普段の暮らしだ。
 安全で幸福な、居心地のいい毎日こそが、猫の最大にして唯一の守るべきものだといえる。

 猫はめったにストレスを感じないものだが、この「平和な暮らし」の変化だけは許せない。この時だけはもとの暮らしを取り戻すためにガンコに抵抗する。

 たとえば毎日の食事が安いドライフードに変更されて、それがおいしくないと思えば、「口に合わない!」とはっきり主張する。
 また飼い主が猫の許容限度を超えて長い留守を繰り返すと、それは自分に対する思いやりと愛情に欠けた行為であると、全力で根気よくアピールしたりする。
 猫のように身も心も穏やかに暮らす秘訣は一つ。
 ストレスの原因を見極めること、そして原因がわかったら、全力で解決すること。
 ストレスの原因がきれいさっぱりなくなるまで、ガンコに抵抗しよう。
 あとは、過ぎたことを悔やんだり思い返したりしなければ、もとの穏やかな暮らしは戻ってくる。

 飼い猫特有の問題として、飼い主との関係がある。
 獣医師も言うことだが、猫のストレスがいつまでも続くとしたら、飼い主のほうに問題があることが多い。
 猫は平穏でいるように見える時でも、飼い主の機嫌や気分をスポンジのように吸い取っている。
 飼い主の緊張や大声、大きな音などがあまりにも続くと、穏やかではいられない。
 
 静かに暮らせないということは、猫にとっては解決すべき大問題だ。
 これ以上気分よく暮らせないとなったら、猫はさっさと家を出ていくこともある。
 猫を責めないで。
 のんびりしているように見えても、自分の快適さのためにはちゃんと行動するのだ。

快適さの追求をあきらめるな。
時にはその場を去ることも必要だ。